2014-05-24から1日間の記事一覧

富ノ澤麟太郎の事

富ノ澤については資料が多くはありませんので、分かるところは分かる、分からないところは分からないという一応の区別があります。ですから今後目覚ましい発見でもない限りこれといった進展も無く、そういった意味では詰まらない作家だともいえましょうが、…

富澤麟太郎「雑記帳から」

雑記帳から 富澤麟太郎 剃刀のやうな講話は耳からでなく目から入れる ○ 木が花を咲かすやうな心持で芸術をやる。 ○ 恋愛は生きるためにやる その他のもの(労働)は食ふためにやる ○ 彼はすつぽりと心をあけて さて愛すといはれた時 その瞬間からその女を嫌…

富ノ澤麟太郎「ある日記」

ある日記 富ノ澤麟太郎 詩人N氏(N氏との関係は改めて書く)の多大なる力で先生に紹介してもらうことにした。 大正八年二月二十日。よく晴れた日だつた。動坂の先生のお宅に行つたのは午後二時頃だつた。 玄関でN氏が喚いた声は二階にひびいたらしかつた…